インチアップ・インチダウンの外径合わせ|失敗しないタイヤサイズの選び方
ホイールのインチを変えるときは、タイヤの外径をできるだけ変えないのが基本の考え方です。扁平率と幅の組み合わせで、外径をそろえる方法を紹介します。
この記事のポイント
インチを1つ上げるとリム径が25.4mm増えるため、サイドウォール高さを上下で合計25.4mm(片側12.7mm)減らすと、外径が同じになります。外径がそろっても、荷重指数・はみ出し・ホイールの適合は別に確認が必要です。
インチアップ・インチダウンの基本
インチアップとインチダウンとは
ホイールのインチを大きくすることを「インチアップ」、小さくすることを「インチダウン」といいます。ホイールを大きくしたとき、タイヤの外径を変えないためには、タイヤの側面(サイドウォール)を低くする必要があります。つまり、扁平率を下げ、そのぶん幅を広げることが多くなります。
なぜ外径をそろえるのか
外径が変わると、速度計の表示と実速度の関係が変わります。また、車高も、外径差の半分だけ変わります。外径の求め方はタイヤ外径の計算式で解説しています。
外径をそろえる考え方
リム径の増加分を、サイドウォールで打ち消す
外径は「幅 × 扁平率 ÷ 100 × 2 + リム径(インチ) × 25.4」で求まります。インチを1つ上げると、ホイール部分が25.4mm増えるため、これを、上下のサイドウォールで打ち消します。
計算例:205/55R16 → 215/45R17
- 205/55R16:サイドウォール 112.75mm、外径 = 112.75 × 2 + 406.4 = 631.9mm
- 215/45R17:サイドウォール 96.75mm、外径 = 96.75 × 2 + 431.8 = 625.3mm
- 外径差 = 625.3 − 631.9 = −6.6mm(−1.0%)
サイズ別の外径早見表
205/55R16(外径631.9mm)を基準にした例
純正が205/55R16の場合の、計算上の組み合わせの例です。表示100km/hのときの実速度は、メーターが正確だと仮定した計算値です。実際に市販されているサイズか、車に装着できるかは、別に確認が必要です。
| インチ | サイズ | 外径(mm) | 純正比 | 表示100km/hの実速度 |
|---|---|---|---|---|
| 15 | 195/65R15 | 634.5 | +0.4% | 約100.4km/h |
| 16(純正) | 205/55R16 | 631.9 | 基準 | 100.0km/h |
| 17 | 215/45R17 | 625.3 | −1.0% | 約99.0km/h |
| 17 | 225/45R17 | 634.3 | +0.4% | 約100.4km/h |
| 17 | 205/50R17 | 636.8 | +0.8% | 約100.8km/h |
| 18 | 215/40R18 | 629.2 | −0.4% | 約99.6km/h |
| 18 | 225/40R18 | 637.2 | +0.8% | 約100.8km/h |
外径差が小さくても、幅が広がるとフェンダーからはみ出したり、干渉したりするおそれがあります。ホイールの幅とインセットも、あわせて確認が必要です(ホイールのインセット・PCD・リム幅の見方)。
保安基準で確認すること
速度計・荷重・はみ出し・タイヤの状態
サイズを変えるときは、速度計(細目告示 第148条)、タイヤの負荷能力(第167条第4項)、はみ出し(第178条第2項)などの基準を満たす必要があります。条文に沿った解説はタイヤサイズ変更は車検に通る?にまとめています。確認できた条文には、外径差を%で制限する規定は見当たりません。
荷重指数は、純正と同じかそれ以上に
インチアップで扁平率が下がると、荷重指数が純正より低いサイズになる場合があります。保安基準では、タイヤに加わる荷重が、タイヤの負荷能力以下であることとされているため、荷重指数は純正と同じか、それ以上を選びます(タイヤ側面の表記の見方)。
インチアップのメリット・デメリット
メリット
- ホイールが大きくなり、見た目の印象が変わります。
- サイドウォールが低くなります。ブリヂストンの資料では、一般に扁平率が55シリーズ以下のタイヤをロープロファイルタイヤと呼ぶと説明されています。
デメリット・注意点
- タイヤ・ホイールの価格や、交換の費用が変わる場合があります(タイヤ交換の費用の内訳)。
- ブリヂストンの資料では、偏平タイヤの空気圧不足は、見た目でわかりづらいため、必ずエアゲージで点検するよう案内されています(タイヤの空気圧の目安と点検方法)。
- ホイールの縁を、縁石などにぶつけないよう、注意が必要です。ブリヂストンの資料でも、縁石にタイヤの側面を接触させることは避けるよう案内されています。
インチダウン(スタッドレス用)の注意点
冬用に小さいホイールを用意する
冬用タイヤを、純正より小さいインチのホイールで用意する方法もあります。冬用タイヤの選び方はスタッドレスタイヤの選び方で解説しています。
注意:インチを下げると、ブレーキ部品とホイールの位置関係が変わります。また、荷重指数が足りるかも確認が必要です。車種によっては、装着できる最小のサイズが決まっているため、販売店に確認してください。
サイズを決める前のチェックリスト
- 外径差と、表示100km/hのときの実速度を計算した(タイヤ外径比較ツール)
- 荷重指数が、純正と同じか、それ以上か
- ホイールのPCD・穴数・インセット・リム幅が、車とタイヤに適合しているか
- フェンダーからのはみ出しや、ハンドルを切ったときの干渉がないか
- ブレーキ部品とホイールが干渉しないか(インチダウン時)
- 店舗に車種と希望サイズを伝え、装着できるか確認したか
よくある質問(FAQ)
インチアップするとき、外径はどう合わせますか?
インチが1つ上がると、リム径が25.4mm増えるため、サイドウォール高さを、上下で合計25.4mm減らして外径をそろえます。計算例は、205/55R16(631.9mm)に対する215/45R17(625.3mm)の組み合わせです。
外径差は何%までなら大丈夫ですか?
確認できた細目告示(第148条・第167条・第178条)には、外径差を%で制限する規定はありません。速度計の基準(表示40km/hで約30.9〜42.55km/h)を満たすかなどが関わるため、店舗や整備工場で確認してください。
インチアップすると、荷重指数は変わりますか?
サイズによって、荷重指数が純正より低くなる場合があります。保安基準では、タイヤの負荷能力以下の荷重であることとされているため、純正と同じか、それ以上の荷重指数を選んでください。
インチダウンして、スタッドレスを履いてもいいですか?
外径、荷重指数、ブレーキ部品との位置関係を確認したうえで、装着できます。装着の可否は、販売店で確認してください。
参考リンク・出典(公式サイト)
この記事の内容は、次の公式サイト・公的機関・業界団体・メーカーの公開情報をもとにしています。法令や規格は改正されることがあるため、最新の情報は各サイトで確認してください。以下は外部サイトです。
- 細目告示 第148条(速度計等):国土交通省・PDF
- 細目告示 第167条(走行装置):国土交通省・PDF。タイヤの溝・負荷能力・空気圧の基準
- 細目告示 第178条(車枠及び車体):国土交通省・PDF。タイヤ・ホイールのはみ出しの基準
- ブリヂストン「タイヤを上手に使っていただくために」:タイヤカタログ記載の使用上の注意(PDF)。カタログ改訂で内容やURLが変わることがあります
- 一般社団法人 日本自動車タイヤ協会(JATMA):タイヤの規格・安全に関する情報